先日、以前にお店へ持ち込み査定にお越しくださったお客様より、再度ご依頼をいただきました。
今回は
お母さまのご自宅の住み替えに伴う家の整理で、
「不要品の中に、骨董品や美術品など価値のある物があれば買取してほしい」
というご相談です。
「捨てていい物」「残す物」が分からない…
前回は煎茶器などをお持ち込みいただきましたが、今回は
どれが価値のある物で
どれが不用品なのか
捨てていいのか判断がつかない
とのことで、お母さま立ち会いのもと、ご自宅へ訪問して一緒に拝見することになりました。
着物や帯も見てほしいとのことでしたが、
「実はもう一件、買取査定で“福ちゃん”さんにも連絡していて…その後でも大丈夫ですか?」
と、少し申し訳なさそうに聞かれました。
もちろん 相見積もりは大歓迎です。
大切なのは「納得して手放すこと」。そのためのお手伝いができれば十分です。
「何もなくてすみませんね」から始まるご訪問
当日、
「すみませんね、何もないのにわざわざ…」
と、お母さまと息子さんがお出迎えくださいました。
よく言われる言葉ですが、私はいつもこうお伝えします。
「大丈夫ですよ。何もなくても大丈夫です。
もし良い物が出てきたら、一緒に喜びましょう(笑)」
二階の確認から一階へ
二階には衝立屏風があり、
「これは良いですね、買取できますよ」
とお伝えすると、
「それは置いとくわ。次の家でも使いたいから」
と、しっかりとしたお気持ち。
“残す物を決める”ことも整理の大切な一歩です。
二階には他に目立った骨董品はなく、一階へ。
着物と想い出の時間
一階には着物が山積みに。
一枚一枚、丁寧に拝見させていただきました。
「それは大島紬でね、男物だけど新品みたいでしょ」
「これは絞りで、なかなか良い物よ」
お母さまが楽しそうに説明してくださいます。
二階に業務用のSINGERミシンがあったので、
「ご自分で仕立てをされていたんですか?」とお聞きすると、
「長いことミシンの仕事してたからね。上手なものよ」
と、会話も自然と弾み、
査定というより 楽しい思い出話の時間になりました。
「お金はいらないから、使ってもらえたら」
最近は着物の相場が厳しく、
「少額になりますが…」とお伝えすると、
「お金はいらないわ。
またどこかで使ってもらえるなら、それでいいから持って帰って」
と、託してくださいました。
最後には
「忙しいのに時間を取らせてごめんなさいね。
でも着物の話ができて楽しかったわ」
と、喜んでいただけたのが何よりです。
大島紬の男物は、亡くなられたご主人のものだったのかもしれません。
娘時代からの想い出が詰まった品々を、
また次の方へ繋ぐお手伝いをさせていただきます。
最後は思わず大笑い
積み込みもお手伝いいただき、
「ありがとうございました」と車に乗り、シートベルトを締めていると…
「ちょっと!ちょっと!鞄!かばん!」
息子さんの奥様が走ってきてくださいました。
なんと、
財布と買取用の現金が入った鞄を置き忘れていた私。
「せっかくタダで譲ったのに、大金置いていってどうするの!」
とお母さまも大笑い。
私も恥ずかしながら、一緒に大笑いでした。
実家整理・住み替え時の骨董品相談はお任せください
実家の整理や住み替えでは、
• 捨てていい物
• 残す物
• 価値のある物
の判断が一番難しいものです。
京都で三代続く古美術・骨董の専門店として、
無理な買取はせず、想い出を大切にしながらご相談に応じています。
「何もないかもしれない」
そんな場合でも、どうぞお気軽にご相談ください。
本日は誠にありがとうございました。